ドイツ、期待の少年|杉崎達哉

杉﨑達哉

11月20日に16歳を迎える少年がいます。彼の名前はユスファ・ムココ、ドルトムントの下部組織に所属するプレーヤーです。ドイツサッカー界は彼のデビュー戦はいつになるのかという話題で盛り上がっています。

まずは簡単にムココの経歴を振り返ります。2004年11月20日にカメルーンで生まれた彼は2013年にザンクトパウリに入団します。その後2015年にはドルトムントに移籍し、ほぼ毎試合得点を決めていました。当時、私が率いていたチーム(U-15)も対戦しましたが、彼には2得点を決められました。その頃から彼は別格で、3学年も違うにも関わらず遊んでいるかのように余裕でプレーしていたのを覚えています。その後も順調に得点を重ね今季はU-19に所属、コロナの影響で公式戦は4試合のみですが13得点と約28分に1ゴールを決める凄まじい活躍を見せています。

【写真左・U-17ドイツ王者に輝く】

【写真右・既にトップチームの練習も経験済み】

驚異的なスピードと高い決定力を兼ね備えているムココの最大の特徴に関してU-20代表のギド・シュライヒシバー監督は認知能力の高さを挙げています。
「彼は瞬時にDFラインの裏のスペースを見つけ、そして相手からのプレッシャーを受けずにベストなタイミングで走り込む能力に優れているんだ」

そんなムココをメディアは『神童』『ワンダーボーイ』と天性の才能が開花したかのように取り上げていますが、クラブ関係者はそのように捉えていないようです。

U-19のマイク・トゥルベル監督は「ユスファは毎朝一番でトレーニングルームに現れる。上達するためにそして自分の目標に向かって毎日ハードワークをしている」と話せば、ラース・リッケン育成統括部長も「ドイツ国内で彼ほどトレーニングをしている選手をしている選手はいない。また食事や睡眠といった体調管理の部分でもプロフェッショナルに気を配っている」と絶え間ない努力の成果だと強調しています。

既にトップチームの練習には参加しているムココのデビュー戦がいつになるか注目されていますが、有資格選手部門責任者を務めるセバスティアン・ケール氏は「才能はあるが彼のキャリアは始まったばかり」と明言を避けています。
「モココはあまり見ることの出来ない能力を持っている」とドイツ代表を率いるヨアヒム・レーブ監督も注目する16歳…彼はヌリ・シャヒンが持つブンデスリーガ最年少出場記録16歳335日を更新する事が出来るでしょうか。

【ブンデスリーガ最年少出場記録トップ10】

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