コロナウイルスによるドイツの近況|杉崎達哉

杉﨑達哉

世界各地で猛威を振るっているコロナウイルスはドイツでも例外ではありません。

今回はこれまでのドイツの状況を振り返ってみようと思います。
私が住んでいる地域は3月14日からいわゆるロックダウンが始まりました。
不要不急の外出はもとより、病院・スーパーマーケットといった必要最低限の場所以外は全て閉まってしまいました。

国民に負担を負わす一方で政府は迅速な対応を取りました。
医療面では早い段階からPCR検査を行った結果、重症患者に対し早期治療が行われたことで欧州の各国に比べ死者の数も少なく抑えられました。

また経済的支援の面でも非常に手厚い政策を出しました。ロックダウンの約2週間後には中小企業、並びに自営業者に対する補償金制度を創設、最大で2万5000ユーロ(約 300 万円)を支援することを発表しました。しかも申請はオンライン、複雑な手続きはなく、早い人で申請後24時間以内にお金が振り込まれました。またサラリーマン世帯には給与の60パーセントが保証されたこともあり、大きな混乱がおこることなく非常にスムーズな形で自粛生活が始まりました。

学校に関しては、各学校で多少の違いはありましたが、6月中旬まで完全に休校、それ以降は週1回の登校でクラスも2つに分け、授業時間も約2時間とかなり制限されたものでした。大学は新学期となった4月以降は休校、授業はオンラインのみでした。

日常生活においては店舗内や公共交通機関ではマスク着用が義務付けされ、ジュニア世代のサッカーも練習は行われていますが、トレーニング後はすぐに帰宅、試合を見る際の観客はマスク着用など感染予防に最新の注意を払っています。

上記のような生活をした結果、感染者数は3月28日に6294人と最高の新規患者が出ましたが、そこからは徐々に人数も減り、7月13日には159人と約40分の1まで抑えることに成功しました。

一定の成果が見える一方、現状は懸念の声も多く聞こえてきます。

直近2週間の新規患者数が徐々に増えてきていて、24日には815人、28日は633人と再び4ケタ台に 届きそうな数字になり、一部では第二波が来ているとも言われています。また現在ドイツは夏休みの真っただ中で、多くの人が国内外に旅行に出かけており、彼らが戻ってきた時にさらに多くの感染者が出ることになるだろうと予想されています。
全世界で約1650万人、ドイツ国内でも約21万人の感染者を出しているウイルスに対し世界中の英知を集結させ一刻も早く治療薬やワクチンが開発されることを願うばかりです。
(数字は 2020 年 7 月 28 日現在のものです)

 

 

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